日々の生活の記録である日記。野田哲也(のだ・てつや/1940-)は、この日記をテーマとして、1968年から今日まで作品を制作しています。作品のモチーフとなるのは、家族や知人の姿、子どもの成長、旅先で目にした風景といった日常の断片。自分の目にとまったものを自身で撮影し、その写真に鉛筆や筆などで手を加えた後、謄写ファックスにかけてできる孔版と、木版とを組み合わせることなどによって作品は制作されます。丁寧な作業を経て生まれたこれらの作品は、日々の生活のなかにこそかけがえのない一瞬があるのだということを、私たちに改めて気づかせてくれるでしょう。私的でありながら普遍性をもつ野田哲也の作品の魅力を、本展では当館コレクション約50点によりご紹介します。