橋本倫は1963年横浜生まれ、88年多摩美術大学大学院油彩画専攻卒業。
昨年、東北地方に大きな被害をもたらした東日本大震災。橋本は地震後しばらくして被災地へと赴き、その被害の実態を目の当たりにしました。そしてその秋開催した北鎌倉ポラリスでの個展では、宗教をも超越した『山越阿弥陀図』とも言うべき三幅対の大作『北溟』をはじめ、被災地への鎮魂の祈りを込めた作品を発表し好評を得ました。
今回の個展『孤氷地』では、昨年の展示でもテーマであった大震災による精神的ダメージからの回復と蘇生の問題がさらにスケールアップし展開されます。
作品全体には“無常観”が通底していますが、その無常観を湛えた作品は、決して観る者を厭世的な気分へと落し込めるのではなく、むしろ現世的な喜びをもたらすものとして鑑賞者の前に顕われるでしょう。
昨年の北鎌倉ポラリスで発表した主要作品2点と、この2点から展開した新作・大小7点、計9タイトル11点を展示予定です。本展は作家が25年近く描き続けてきた中の一つの到達点となる展覧会であります。
是非ご高覧賜りますようご案内申し上げます。