大阪に生まれ京都で活動を続ける河合晋平(かわい・しんぺい 1971~)は、自身が「存在物」と呼ぶ独自の立体作品または平面作品を制作する気鋭のアーティストです。1990年代半ば以来、合成樹脂を用いた独自の技法を創意工夫することにより、今日に至るまで様々なバリエーションの「存在物」を生み出してきました。未知の生物を思わせる形態・色彩・マチエールを有すそれらは、多彩な組み合わせによって、バーチャルな生態系空間とでもいうべき世界を見る者の前に現出させます。近年は、合成樹脂を自在に操った従来の作品のみならず、透明プラスチックのスプーン、電池ボックス、ビニールチューブといったレディメイド的な素材に手を加えた作品など、新たな表現様式を拡大しつつあります。本展では、常に進化を続け、見る者に新鮮な驚きを与える河合の作品世界を、「河合晋平博物館」と題して紹介します。
注目作家紹介プログラム“チャンネル"とは
チャンネル(channel)という単語には「海峡」や「水路」、兵庫県立美術館の前にもある「運河」、テレビやラジオの「チャンネル(局)」、「思考・行動の方向」、さらには何ものかとの「交信」など、様々な意味があります。そこに共通するのは「何かと何かをつなぐこと」。美術館を訪れる人と、同じ時代を生きるアーティストとがつながっていくことを願って、タイトルを“チャンネル"としました。