“もはや自分が作るものは、自分の自画像ではなく、自分や誰かの子どもや友達だと感じる。オーディエンスのもの、欲を言えば美術の歴史の中に残っていくものになっていくと思っている。自分の肉体が滅んでも、人類が存在する限りは残っていくもの。” ―――――奈良美智
一目見ると忘れがたい印象を残す子どもや動物たち。奈良美智(なら・よしとも)が作り出すものたちは、時に挑戦的であり、またある時には瞑想しているような憂いを帯びた、多彩な表情を見せてくれます。そこには、可愛らしさの奥底に秘められた強い意思や、言葉にできない感情といった、相反する営みが共存する人間の奥深さが表れ、見る者の想像力をかきたてます。
絵画やドローイングをはじめ、大規模なインスタレーションなど、多様な作品を通じて広く世界中の人々を魅了してきた奈良美智は、今、創作活動の原点に立ち返り、新たな作品世界を切り拓こうとしています。本展は、作家にとって初の挑戦となる大型のブロンズ彫刻をはじめ、絵画やドローイングなどの新作により構成されます。これまで作家の分身として送り出されてきた作品は、より自立した存在として私たちと対峙し、美術が本来得意としてきた永続性のある共感関係を浮き彫りにしていくことでしょう。タイトル「君や 僕に ちょっと似ている」のように、奈良美智の新たな作品世界のなかから「ちょっと似ている」何かを見つけ出してください。