三岸黄太郎(みぎしこうたろう・1930~2009)は、洋画家として著名な三岸好太郎(みぎしこうたろう)・節子夫妻の長男。彼もまた、高校時代より油絵を描きはじめました。1953年に銀座・兜屋画廊で個展を開催。以後フランスと日本を往来し、父母の感性を受け継ぎながらも自己の道を黙々と歩んで、シンプルな構成と繊細なマチエールで独創的な世界を打ち立てました。
とりわけ母・節子とともに暮らしたフランスブルゴーニュ地方の風土から生み出された数々の風景画は、心に染みる詩情をたたえています。その寡黙にしてどこか唐突な感じは、夢のようでもあり、またほのぼのとしたユーモアや生活観をも含んで、観る者を引きつけてやみません。
本展では、三岸黄太郎長男の三岸太郎氏の協力を得て、三岸黄太郎の秀作を好太郎と節子の作品約70点とともに紹介し、共通の資質や、この画家ならではの個性をさぐります。