スペイン・ボルトガルによる世界進出が本格化し、その波は16世紀半ばの日本にも到達します。これに触発されて、日本美術の新潮流「南蛮美術」が誕生しました。
1549年より日本で急速に普及していったキリスト教、特にその最大修道会派・イエズス会の周辺では、日本人の画家たちが礼拝用の聖画をてがける一方、西洋画の華麗で写実的な表現で屏風絵も描いていました。日欧の交流は狩野派など伝統的な絵師たちにも大きなインパクトを与え、南蛮人(南洋からやってきた西洋人)のファッションや舶来品を題材とする斬新な絵画・工芸品が多く制作されました。
しかし、17世紀前半に日本は鎖国に転じ、南蛮美術はその命脈を断たれることになります。多くの作品が禁教により破壊されましたが、代表作の「泰西王侯騎馬図屏風」をはじめ、現在まで伝世したものも少なくありません。南蛮美術の名品約100件が国内外から集結するこの展覧会で、近世初期の革新的な美と、激動の歴史を体感してください。