戦後の日本美術を考える上で、画廊の存在はきわめて重要なものであり、美術家と画廊との関わりを通して、数々の名作が生まれてきました。中でも「南画廊」(1956-1979年)は、1950~70年代の美術にとって、無くてはならない存在として知られています。
浅川邦夫(1932年- )は、「南画廊」の開廊当初からその運営に関わった後、東京・銀座にて「画廊春秋」(1968-2003年)を経営し、長年の活動を通じて多数の作品を蒐集するにいたりました。足利市立美術館では、絵画、彫刻、写真をはじめとする700点あまりの寄託を受け、「浅川コレクション」と名付けて収蔵しています。本展では、その中から1960~80年代の作品を中心にした約90点を展示いたします。
これらの作品には、浅川と美術家との濃密な交流の中で制作され、「南画廊」あるいは「画廊春秋」という場を通して世に出たものが多く含まれています。そこには、画廊自体があたかもギャラリストの分身であるかのような強い個性をおび、そうした場で美術家が歴史の一端をつくっていった、当時の美術のあり方を見て取ることができるでしょう。