東海道をテーマとした作品は天保4年頃に歌川広重が制作した「東海道五拾三次之内」が有名ですが、その後「東海道シリーズ」は様々な絵師により描かれました。内容も1枚の作品の中に街道風景と美人や役者を組み合わせた作品など庶民に売れる作品を出版しました。
この「役者見立東海道五十三駅」は三代豊国が描いた作品です。出版期間は嘉永5年2月改印から翌年1月改印までの1年間で大判揃物140枚以上といわれています。当初は正編として55枚で終わる予定でしたが、好評のため続編、間の宿や2枚続きなどが追加されました。
三代豊国が最も円熟した時期に描いた役者絵で、構図は手前に役者の姿、背景の上部雲で仕切られた部分に風景が描かれています。当時どの役者が人気が高かったか知る機会になると思います。役者の見得を切った姿をご堪能出来れば幸いです。