水に恵まれた緑豊かな自然、そして四季折々の草花に囲まれ変化に富んだ情景は、「花鳥風月」という言葉で知られるように、日本の文化・伝統、そして日本人の自然観や人生観を培ってきました。現代の日本画においても、この「花鳥風月」は主要なテーマであり、数々の花鳥画、風景画が描かれています。それぞれの画家の眼と心を通して表現された草花や自然の姿は、まさに日本人の心象を象徴したものです。
平成2年(1990)大阪で開催された「国際・花と緑の博覧会」いわゆる「花博」において、東山魁夷や小倉遊亀、加山又造など日本を代表する画家50人による「花と緑の日本画展」が大きな話題となりました。本展覧会はその出品作品を所蔵する佐藤美術館の協力のもと、昭和の日本画壇の中心となって活躍した画家をはじめ、平成になってその活躍を期待される俊英たちによる花鳥画・風景画を通して、時代によって変わることなく私たちの心を捉え続ける「花鳥風月」の世界を紹介していきます。