19世紀後半、フランスやベルギーを中心として、象徴派と呼ばれる芸術運動が起こりました。日本でも、明治末から大正にかけて、「秋の日のヴィオロンのためいきの…」の訳詞で有名な上田敏によって、ヴェルレーヌ、マラルメ、ヴェラーレン、マーテルランク(メーテルリンク)など、同時代の象徴派の詩人が紹介されています。そのためでしょうか、象徴派ということばにはある種ノスタルジックな響きがあります。
一方、象徴派の画家たちは、眼に見える世界を超えたところにある理想や、事物の背後に潜む存在の神秘を描き出そうと試みます。魔性の女サロメやスフィンクス、死せるオルフェウス、また小説「死都ブリュージュ」の世界観を描いたクノップフ、モロー、ルドン、そしてタヒチの画家ゴーギャンやアンティミスム(親密派)の画家ドニ、ボナール、ヴュイヤールなどです。
象徴派の画家たちが紡ぎ出す、夢幻美の世界をお楽しみください。