タイトル等
特別展
東北の工芸と棟方志功
会場
日本民藝館
展示室1階 展示室2階
会期
2012-04-03~2012-06-10
休催日
月曜休館(祝日の場合は開館、翌日休館)
開催時間
10:00~17:00
入館16:30迄
観覧料
一般 1,000円、大高生 500円、中小生 200円
概要
自然風土は民藝の生みの親であり、美の母胎である。青森の生んだ世界的な版画家棟方志功(1903-1975)も、東北の豊かな自然風土から美の滋養を汲み取り、生命感にあふれる作品の数々を世に送った。見る者を驚愕させるその独創的な板画(はんが)(板から生まれた板による画という意)作品は、まさに純粋無垢な魂の発露ともいえよう。
豪胆な構図や豊潤な色彩で知られるが故に、直情的な感性の持ち主として棟方は語られる。しかし、実際の棟方は深い洞察力を備えた、万物への畏れや敬虔な祈りを心に宿す人物で、それらを根底として自らの芸業(げいごう)を支えている。
祈りの心といえば、「東北経鬼門譜(とうほくきょうきもんぷ)」(1937年)という作品がある。版木120枚を使い、六曲一双の屏風を広げると、実にその長さは10メートルにもなる。戦前期最大の作品で、まさに圧巻である。棟方は、東北という日本の「鬼門」にあたる貧寒の故郷を想い、仏の力を借りてこの地を幸あらしめたいと願ってこの制作にあたった。
左右に分かれる屏風の中心には身を二つに割った鬼門仏(阿弥陀如来)が描かれ、その仏をはさむ形で右隻と左隻にそれぞれ菩薩(ぼさつ)・羅漢(らかん)・行者・人間・水子を配し、鬼門仏の光に浴しつつ極楽浄土へ導かれるという行程を表現した。棟方は、身を割った仏の間から諸々の悪霊や禍を通すことで、それらを鎮めてくれるよう念じたのである。
なお、同じく郷里青森への思いを込めた作品に「善知鳥(うとう)版画巻」(1938年)がある。この作品は謡曲「善知鳥」をもとにしたもので、鳥獣を殺すことを生業とした猟師とその妻子、そして殺される側の善知鳥親子の双方の情愛を描いた悲哀の話である。棟方は、愛情深い海鳥の親子の別離の悲しさや、生活のための殺生とはいえ、その罪の報いで亡者となった猟師の苦しみを、故郷への思いと重ね合わせながら板に彫り込んでいった。
棟方にとって、これらの作品そのものが故郷への「祈り」であった。東日本大震災から一年。未だその災禍に苦しむ東北の地に、棟方志功の深い鎮魂の想いが届くよう、心から願ってやまない。
その他、本展では東北の民窯(久慈焼・平清水焼・白岩焼・楢岡焼・会津本郷焼・堤焼等)、蓑・けら・背中当などの編組品、南部菱刺し・津軽こぎん・被衣(かつぎ)などの染織品、樺細工や漆工品など、誠実な仕事と丹念な手技による東北各地の諸工芸の優品も展示される。
伝統を大切にする堅実な暮らし振りからは、実に豊かな工芸文化が生まれた。健康的で力強さに溢れるその固有の造形美は、まさに日本列島の北における「民藝の宝庫」を見る思いがする。
イベント情報
記念講演会 棟方志功-東北を想う
〔講師〕石井頼子(棟方板画美術館学芸員)
5月12日(土) 18:00-19:30 会場・日本民藝館大展示室
料金・300円(入館料別) 定員・100名(要予約、TEL.03-3467-4527)

関連企画 日本民藝館の器でお茶をのむ -志功流お茶の楽しみ
〔講師〕石井頼子(棟方板画美術館学芸員)
日時 4月15日(日) 第1回11:00-12:30、第2回14:00-15:30 全2回、各回12名(要予約)
会場 日本民藝館西館(旧柳宗悦邸) 会費 3,000円(入館料込)
巡回等情報
巡回展・豊田市民芸館(9月中旬~12月上旬予定)
会場住所
〒153-0041
東京都目黒区駒場4-3-33
交通案内
電車をご利用の場合
・京王井の頭線「駒場東大前駅」西口から徒歩7分
・小田急線「東北沢駅」南口から徒歩15分

バスをご利用の場合
※バスは本数が少ないためご利用の際はご注意ください。
・渋谷駅西口バス乗り場より
東急バス
渋55系統 代々木上原・東北沢経由幡ヶ谷折返所行き
「代々木上原」下車 徒歩8分

お車をご利用の場合
・駐車台数に限りがございますので(3台)、なるべく公共の交通機関をご利用願います。
・環状6号線(山手通り)の三叉交差点(東大裏門付近、ガソリンスタンド有り)を東北沢方面へ向かう道に入り、上原二丁目の信号機を左折、突き当たりを右折しますと間もなく右側にあるのが日本民藝館、左側が駐車場となっております。
・周辺道路が狭く一方通行のため、通行は中型バスまでが可能です。大型バスでお越しの際は事前にご連絡下さい。
ホームページ
https://www.mingeikan.or.jp/
東京都目黒区駒場4-3-33
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