1980年代はじめから、現代美術の熱狂を感じる関西アートシーンの中で、作家としてのキャリアをスタートした北野吉彦。80年代の関西ニューウェーブ、インスタレーション旋風、新しいメディアの登場と、激動の美術シーンをよそに、作家は、モノクロームの絵画を制作しました。90年代には、関西だけでなく全国の美術館での重要なグループ展でも発表を重ね、現代の絵画とは何かを提示してきました。そして現在に至まで、一貫してモノクロームの絵画を制作しています。
30年のキャリアの中で作家は、常に絵画の在り方を意識し、独自の感覚で表現の新しさを求めて、制作に向い合っています。
制作姿勢はストイックでありますが、一方、作品は、独特な色や多様な筆跡による豊かさを持ち合わせています。
本展は、ギャラリーヤマグチでの約4年ぶりの個展です。より研ぎ澄まされた作品を通じて、北野氏の表現の根幹を感じて頂ければ幸いです。