役者絵に並び、浮世絵(錦絵)のメインテーマである美人画は、江戸時代を通じて描き続けられたジャンルです。当時人気の遊女や看板娘などの美人は、浮世絵師たちにより最新の流行を取り入れた姿で描かれました。
美人画の定型は変化します。それは、時代によって理想とする「美人」が変化するからであり、美人画は時代を写す鏡と言えます。線の細い少女のような美人を描いた鈴木春信、大判続絵という大画面に八頭身美人を配した鳥居清長、退廃的な女性を描いた渓斎英泉、そして歌川派は猫背猪首のスタイルを確立しました。中でも風景画の名手・歌川広重は、美人画だけでなく名所絵としても楽しめる新しい形の作品を描きました。
本展では、前期には錦絵の草創期から広重の美人画に至るまでの歴史を、後期には歌川国貞が描いた「東海道五十三次之内」(通称:美人東海道)をもとに身分により異なる風俗をご紹介いたします。併せて、女性の髪型模型や装飾具等も展示いたします。
浮世絵に描かれた様々な「美人」はどのように表現されてきたのか、ぜひご覧ください。