広大な宇宙のなかの、そのうちのひとつの星の地の上で、はじまりについて思いを馳せる。
地は天を映す鏡。鏡を写す写真。天と地をつなぐもの。闇が底をつくと光がやってくる。
東京都写真美術館では2000年以降の時代を代表する写真家として若い世代を中心に支持され、国際的にも活躍する川内倫子の個展「照度 あめつち 影を見る」を開催します。
川内倫子は、私的な日常光景を切り取り、つなぎあわせ、普遍的な生命の輝きへと昇華させる写真表現によって同時代の高い評価を獲得してきました。特定の時間や場所を記録する写真の束縛から解き放たれた瞬間瞬間の光景には、光と闇、生と死、過去と現在が交錯し、容易に言葉に置き換えることのできないイメージの純粋さは、見る者のさまざまな記憶や感情を呼び覚まします。
本展で初公開となる新作シリーズでは、地球上の数々の事象をとおして、作家の感覚と直観は、より大きな世界へと向けて開かれてゆきます。首都圏の美術館で初めての個展となる本展は、2011年発表のシリーズ《Illuminance》(イルミナンス)と最新作《あめつち》《影を見る》からなる展示構成によって、川内倫子の作品世界の魅力と本質、そして新たな展開にせまります。