MOA美術館は、本年、開館30周年を迎えました。当館ではこれを記念し、年頭より、琳派、岩佐又兵衛の絵巻群、仏教美術、肉筆浮世絵等、代表的な所蔵作品の展覧会を開催してきました。開館30周年の最後を飾る本展では、日本陶磁器を取り上げます。
当館の日本陶磁器コレクションは、野々村仁清作「色絵藤花文茶壺」(国宝)を筆頭に、各時代、各分野の優品が網羅されているのが特色です。このたびの展覧会では、その中から、平安時代後期から室町時代にかけて制作され、素朴な味わいで人気の高い常滑、越前、信楽、丹波、備前、瀬戸の、一般に「六古窯」と呼ばれる窯場で生まれた壺、甕などを中心に取り上げます。更に縄文時代の火焔形土器から江戸時代の伊万里・鍋島といった色絵磁器に至る日本陶磁の名品約90点を一堂に展観します。本展によって日本陶磁の歴史を展望し、それぞれの作品に表現された日本人の美意識をご堪能いただければ幸いです。