京都を拠点に国際的に活動している麻谷宏と鈴鹿芳康が初のコラボレーションを行う。ありていの合作や共同制作ではないスタイルを試みるという。ともに1947年生まれの同年代、現代美術作家として多彩、多様な創作を展開してきた。二人の表現行為のコンセプトは、鈴鹿の場合、時間や光の変化の経過を記録できるピンホールカメラを主要なメディアに、偶然と必然、陰と陽、天・地・人の縁を探求することであり、麻谷は水平と垂直の交差や、表層と深層を貫く垂線をメタファーに「もの皆一点に集まる」のテーマを具現することにあった。異質な要素の出会い、交差、反発、溶融、調和…などを意図してきた二人の初コラボだけに、大いなる2の相乗を意図した果敢な掛け合いの発表を見たい。3・11の大震災や原発事故以来、生き方や美術表現の在り方も問い直されている2011年の暮れに開催される企画が、人と人が支え合う大切さや信頼の絆に元気をあたえる「麻谷∞鈴鹿」ならではのアートコラボになることを願う。
(太田垣 實/美術評論家、大阪成蹊大学芸術学部教授)
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