彫刻は、油絵や日本画などにくらべると親しみにくいジャンルかもしれません。しかし、まわりの空間を取り込んだ、立体ならではの豊かで充実した表現ができるのが彫刻です。木や石、そして粘土などの素材に立ち向かい、作家の心と技の全てをそそぎ込んでつくり出したかたち、それはまた、作家本人の分身でもあります。
平成10年に当館で開催した企画展「大地の造形―東北の彫刻家たち―」では、明治期から現代にいたる東北出身の彫刻家を中心に、新潟県、北海道の彫刻家の作品を加えて、北国の大地が育んだ個性豊かな造形作品を紹介しました。本展では、秋田県彫刻界の礎を築いた佐々木素雲や相川善一郎に始まり、秋田大学で後進の指導にあたった三浦金之進、阿部米蔵などのほか、現在秋田で活躍中の作家や、ふるさと秋田を巣立って活躍している作家のなかから20名をとりあげます。当館がこれまで収集してきた作品のほか、秋田県彫刻連盟のご協力による作家所蔵の作品などを加えて、美しき秋田の風土に根ざした彫刻約60点をご覧いただきます。