秋の御神幸祭(ごじんこうさい)(裸坊祭)でもその名を知られる、山口県防府(ほうふ)市の防府天満宮は、「日本最初の天神さま」という由緒を持つ、全国でも屈指の規模と歴史を誇る天神社です。この防府天満宮には、大内氏や毛利氏を中心とした、あらゆる時代における人々の篤い信仰をものがたる宝物が、数多く伝えられています。なかでも「松崎天神縁起絵巻(まつざきてんじんえんぎえまき)」は、菅原道真公の波乱に満ちた生涯と天神さまの秘話、そして防府天満宮創建の由来を色鮮やかに描き出す、鎌倉時代を代表する絵巻です。今年は制作より七百年目を迎え、五年間の修復を終えた節目の年となりました。本展覧会では、この絵巻の六巻、約七十五メートルからなる全貌を、室町時代の模写本と併せて全編一挙に公開します。知られざる防府天満宮の名宝と県内の関係文化財六十点とともに、防府の天神さまの千年以上にわたる軌跡をお楽しみください。