大正から昭和にかけて、少女雑誌などで人気を博した挿絵画家・蕗谷虹児(1898～1979年/新潟県生まれ)。14歳で日本画家を目指して上京しますが、竹久夢二の知遇を得て21歳で『少女画報』に挿絵を描いてデビューをすると、新聞連載小説の挿絵、『令女界』の表紙絵のほか、愛唱歌となった「花嫁人形」の詩や書籍の装幀などを手がけ、瞬く間に花形作家となります。1925年には、本格的に絵を学ぶため渡仏し、エコール・ド・パリの画家としてサロンで入選を重ねました。1929年に帰国すると、再び少女雑誌各誌に洗練された線描と多彩な作風を駆使したモダンで抒情的な女性像などを描いて、その人気は絶頂期を迎えます。戦後は、世界名作童話全集や『いっすんぼうし』、『人魚姫』などの絵本の挿絵を数多く手がけ、晩年は、個展を通して優美な少女像を描いた絵画を発表し、長年にわたって多くの人々を魅了し続けました。
本展覧会では、少年時代の習作をはじめ、少女雑誌の原画や書籍の装幀、パリ留学時代の作品、絵本原画、アニメーション、晩年の絵画作品など約600点を展示し、半世紀を越える創作活動を一堂ご紹介します。日本情緒とモダンな感覚が織りなす蕗谷芸術を存分にお楽しみください。
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