岩手県立美術館では2009(平成21)年度から、岩手県ゆかりの美術家の活動に焦点をあてた展覧会を開催しています。「トスカーナの風に抱かれて 千葉勝展」(2009年)、「百瀬寿展」(2010年)に続き、第3弾として、福田繁雄を取り上げます。
長年にわたりグラフィックデザイン界のトップランナーとして活躍し、2009年に急逝した福田繁雄は、少年時代を母親の故郷である岩手県二戸市で過ごし、当館のロゴデザインも手掛けた県ゆかりのデザイナーです。
1950年代半ばから60年代、目前に迫る東京オリンピックや大阪万博に向けて、日本のデザイン界が大きく動き出した時代に、若手デザイナーとしてのキャリアを歩みはじめた福田は、1972(昭和47)年、ワルシャワ国際ポスタービエンナーレで金賞を受賞、一躍その名を世界に知らしめます。情報を受けとる人間の視覚を基本として創作することを旨とし、簡明直截をヴィジュアル・コミュニケーションのひとつの目標とする福田。その精神は、見る人の目を楽しませるトリックアートの立体作品にも貫かれているといえます。
本展覧会では、DNP文化振興財団所蔵のポスター210点と、二戸市シビックセンター福田繁雄デザイン館所蔵の立体作品約100点に加え、初期の貴重なアイデアスケッチなどを展示、福田繁雄の全貌に迫る、過去最大規模の回顧展です。ぜひこの機会に、遊びゴコロ満載の福田ワールドに足を踏み入れ、目をあざむかれてみてはいかがでしょう。