日本には、それぞれ独特な目的、性格をもった美術コレクションが、数多く形づくられています。それらは、現代のわたしたちに貴重な文化遺産である名画などと親しむ機会を与えてくれます。なかでも野間コレクションは、大正から昭和初期の日本画壇をそのままに網羅した、まさにユニークな存在といえるでしょう。明治42年(1909)、大日本雄弁会(講談社の前名)の創立以来、初代社長・野間清治は、次第に雑誌の表紙・口絵のめに大量の画稿、ひいては画家たちとのより広い交友関係を必要とするようになったこと。さらに、大正10年(1921)、野間は、東京府小石川区音羽にある旧山田顕義伯爵邸を購入し、その彩りとなるべき美術品を求めるようになったこと。これらを契機として生まれ、本年で90年が経過する「野間コレクション」。今なお光彩を放ちつづける、近代日本画の精髄をお楽しみください。