チャンバラごっこ、紙芝居、おしくらまんじゅう、らくがき、コマ回し…など、どの写真からも、日本のあちらこちらで貧しくてもみんなが一生懸命たくましく生きていた、昭和の日々そのものが浮かび上がってきます。
こどもを対象にした土門拳の作品は、『ヒロシマ』や『筑豊のこどもたち』、『古寺巡礼』などの代表作とはまったく異なる印象を与えます。自由に遊び回るこどもたちの一瞬の動きを鮮やかに写し取るスナップショットの冴えは見事というほかなく、嬉々としてこどもたちと遊び戯れているような、躍動感や愉悦感に満ち満ちています。これもまた土門拳の一面であることに間違いはなく、土門拳を語る上で『こどもたち』が欠かせない理由でもあります。
土門拳のこどもの世界で、しばし時を忘れてください。