世界的に活躍する造形作家、川俣正の個展を開催いたします。
今回、ギャラリー内に展示構成される《デイリーニュース》は、ギャラリー全室を使った1点の作品として4つの素材(要素)で具体化されます。一番メインとなる素材が新聞紙です。日常的に消費される膨大な情報量や物質性を100トン以上の新聞をインスタレーションし表現します。2つめの素材は、作家が新聞からクリッピングした報道写真100点です。会場壁面にプロジェクションし情報の一過性を提示します。3つめの素材は、川俣自身が手がけた過去20年間のプロジェクトのドキュメントパネルです。個人史的時間と情報を会場に介入させます。4つめの素材は、ワークショップ形式のプロジェクト資料です。書架状のアーカイブ作品として会場に7つ設置し継続的時間を提示します。さらに、会場で実作される《デイリーニュース》と対になるもう一つの『デイリーニュース』をアーティスト・ブックとして刊行します。サイト・スペシフィック・ワークという制作スタイルは、それぞれの場所をリサーチし、プランを構想し、プロポーザルへと結実させプロジェクトの実施へと準備を進める手順がループ上に続くことになります。
本書籍『BOOK IN PROGRESS 川俣正 デイリーニュース』は展覧会準備に取りかかった2000年9月から作家が行ったさまざまな活動をダイアリー形式で編集し、日常のなかの作家活動を対象化することを目的としたものです。収録される素材は、作家日記、日誌、講演会録、対談録、ドキュメント、プロポーザル、ドローイング、メモ、手紙等です。本書籍は5つ目の作品(素材)として展示いたします。