平成21年7月、日本・モンゴル民族博物館館長であった金津匡伸(まさのぶ)氏が亡くなりました。好奇心旺盛な考古学少年だった金津氏は、博物館で仕事をしたいという夢を抱いていました。しかし、そんな彼が選んだ仕事は、何と外務省の外交官でした。モンゴル国大使館員として赴任した後は、モンゴルの自然と文化に魅了され、私財を投げてモンゴルの民俗資料の収集にあたりました。
収集したモンゴルの民族資料は縁あって豊岡市(旧但東町)に寄贈され、「日本・モンゴル民族博物館」を設立させるとともに、国際交流や地域文化の発展という大きな成果を挙げて現在に至っています。
異色の経歴をもつ金津氏には、子どもの頃の夢が根付いていたようです。「夢は願えば叶う。」金津氏の生涯からは、そんなメッセージが聞こえてきます。
今回の企画展では、金津氏が生涯をかけて収集したさまざまな資料から、故人の遺徳を広く継承するとともに、地域の歴史、自然、文化を掘り起こし、人づくり、まちづくりにつなげる契機となれば幸いです。