今から約950年前、鳳凰堂の内部は一体どのように荘厳されていたのでしょうか。
建築としての華麗さもさることながら、本尊の阿弥陀如来坐像やそれを取り囲む52体の雲中供養菩薩像―。創建当初の姿は多くの謎に包まれています。
雲中供養菩薩像の多くは、楽器や仏具などの持物を手にしています。しかし、「北25号」を除く全ての持物は江戸時代以降に修理されたもので、当初の持物は定かではありません。
雲中供養菩薩像の中で、最もたくましく躍動感あふれる「南24号」。背面に『愛』と墨書されるこの仏像は、いつの頃からか右腕が失われています。一体何を持ち、どんな意味が込められていたのでしょうか。
一方、未敷蓮華を捧げ持つ「南17号」。この像の本当の持物とは-?雲にたなびく天衣の動きから、本来の姿が浮かびあがってきました。
さらに、今回、平成大修理の過程で本尊台座より発見された平安時代のガラス玉や螺鈿をもとに、台座を飾る瓔珞を復元しました。そこには、まばゆいばかりに燦然と輝きを放つ意匠があったのです。伸びやかで放胆、かつ繊細で華麗。
平安時代の美意識とは-?立体的に復元された美術品の数々から、その真実に迫ります。