「晴耕雨織」―晴れの日は農作業、雨の日は織をする。これは山口安次郎が自らの暮らしを称した言葉です。
山口安次郎は明治37年(1904)に京都・西陣に生まれ、12歳から家業 の西陣織で一家を支えた後、半世紀にわたり能装束の復元・製作に専念した生粋の職人です。西陣最高峰の技と、織りへの情熱から生まれた能装束は、生涯に200領余にのぼります。
「300年残る能装束をつくりたい」と語った安次郎は、能装束の研究と製作に人生を投じ、本年2月105歳で天寿を全うしました。
初の遺作展となる本展では、山口安次郎、その心と技の結晶である105領の能装 束作品を展示します。現代に生きる日本の伝統技術の粋と、織りにこめられた安次郎の心をご覧ください。