青梅、あるいは多摩地域の文化的土壌は豊かであり、美術においても多様な展開を見せています。この地からはどのような作家が輩出されたのか、その一例として本展覧会では、郷土にゆかりのある作家の絵画作品を展示します。
彼らの作品に見られる共通点は、都内でありながら多彩な自然が広がるこの地域の風土と深い関係があるといえます。
一つは描く対象、すなわちモティーフです。変化に富んだ美しい山川、色とりどりの植物、生命力にあふれる動物など、この地は作家たちにとって描きたくなる魅力的なものであふれています。地域全体がまさに「絵になる光景」なのです。
もう一つは作風であり、それは作家を取り巻く制作現場と無縁ではありません。慌しい都心の喧騒から離れた静かな環境は、じっくりと腰を据えて制作に没頭できるものであり、その結果穏やかで心優しい作風が生まれました。この地の風土は、作家の人間性や芸術館観にも影響を与えているのです。
本展覧会で紹介するのは皆、青梅や多摩地域に魅せられた作家であり、何度も写生に訪れ、画業の大半を過ごした者もいます。「おらがまちの作家」として親しみと誇りを感じ、また彼らの作品をとおして郷土の魅力を発見できるような展覧会を目指します。