棟方志功は、「版画」を「板画(はんが)」と称し、従来の常識にとらわれない、奔放なエネルギーに満ちた大型の作を次々と発表した、日本を代表する木版画家です。戦前より評価を高め、1955年のサンパウロ・ビエンナーレ、1956年のヴェネツィア・ビエンナーレでは日本人初の版画部門最高賞を受賞し、1975年に72歳で天寿を全うするまで、旺盛な創作活動を続けました。
本展は、2010年が没後35周年にあたることを踏まえ、「祈りと旅」をテーマに、彼の幅広い芸業をご紹介する大規模な回顧展です。サンパウロとヴェネツィアで受賞した《二菩薩釈迦十大弟子》や、全長26mに及ぶ大作《大世界の柵》を始めとした代表作を網羅するとともに、文学や女性を主題にした作品や、当市出身の工芸家・芹沢銈介ともゆかりの深い、民藝運動との関わりを示した作品をご紹介します。
また、現代版「東海道五十三次」として制作した《東海道棟方板画》のうち、地元静岡を描いた作品を展示します。後の《西海道棟方板画》等一連の「海道シリーズ」と合わせて、「世界のムナカタ」が表現する日本の原風景をお楽しみいただけます。