岡山県津山市が生んだ代表的な画家の一人である木村は、県立津山高校から東京藝術大学油画科に進み、同大を主席で卒業しました。卒業作品は大学の買上げとなり、さらに在学中優秀な学生に贈られる「安宅賞」を受賞。’69年に同大学院を修了するとイタリアへ留学。現地の絵画に強く刺激を受けて自身の美意識を深めていき、’75年に帰国。以降、東京都日の出町を拠点に、国内で精力的に作品を発表していきます。
’04年には、京都造形芸術大学に学科長として迎えられ、学生指導と自らの制作の狭間に身を置きながら、多忙を極める環境の中で精進を重ねてきました。
作品の多くは、黒を基調とした油彩によるモノクロームでメタリックな大作の絵画です。
毛筆で描かれたような「ひらがな」を、画面に隙間なく描き込み、沸き起こるいぶし銀のような深い画面が、さらに増殖するようなイメージを喚起し、観る者の想像力を、いやが上に掻き立てます。
郷里・津山でも留学直前の’69年と帰国直後の’77年、そして’84年に三回の個展を開催しました。
本展は、木村にとって岡山における約26年ぶりの個展になります。
大画面の最新作を中心にした会場構成は、近作を加えて展示していく会場構成は、「進化」と「深化」を遂げる作家・木村克朗の現在(いま)を知らしめ、「現在進行」系作家として、若い画家たちへの励ましのメッセージを送ることでしょう。