シュルレアリスムは、1920年代フランスに興った芸術運動です。そこでは、既成の秩序や社会に対する反逆精神を基本に、美術にとどまらず、文学、演劇、映画など、広い芸術分野にわたって、理性や常識からの精神の解放が唱えられ、無意識や夢の世界、偶然性などが重視されました。
特に、美術においては、オートマティスム(自動筆記)、デペイズマン(配置転換)、デカルコマニー(転写画)、コラージュ(貼り合せ)などの技法が活用され、自意識が介在できない無意識の世界を表現した作品や、事物のあり得ない組み合わせなどによる幻想的で奇妙な世界を写実的に描いた作品が制作され、多くの画家たちに波及するとともに、後の20世紀美術の展開に新たなエネルギーと多様な視点とを与えました。
本展では、宮崎県立美術館の全面的な協力を得て、ロワ、キリコ、マン・レイ、エルンスト、ミロ、マグリット、ベルメール、ダリなど、シュルレアリスムを代表する画家たちの作品により、その不条理と幻想の芸術世界を紹介すると共に、同時代を生きたシニャック、ボナール、ピカソ、マティスなど巨匠たちの作品を併せて展示し、同館が誇る西洋絵画コレクションの一端を紹介します。