型絵染の人間国宝、芹沢銈介は1万点を超える作品を残しました。そのモチーフになったものは、身近な動植物、訪れた景色、自身が蒐集した世界の工芸品など様々ありますが、その中に「やきもの」が含まれています。
沖縄の壺屋や、九州の伊万里、東北地方の窯場を訪れた際、やきもの制作にいそしむ陶工たちの姿や窯場の風景などを描き、それらが着物やのれん、私家本など作品の題材になりました。
また、芹沢の型絵染の原点となった紅型の技術取得のため訪れた沖縄で、赤絵陶器の絵付けを行ったことが後の芹沢作品に大きな影響を与えました。沖縄から東京に戻るとすぐに、東京・蒲田の自邸の一角に窯を2基作らせ、沖縄から取り寄せた白生地に赤絵を描き続けました。空襲で窯を失うまでの5年間に集中して制作された赤絵の器やその下絵をまとめた私本、「やきもの・かまば」をテーマにした着物やのれんなど型絵染作品を約60点展示します。