彫刻家・三沢厚彦は、動物をモチーフとした樟の木彫で国内外を通じて高い評価を得ている、現在最も注目を集めている現代美術作家です。
1961年京都府に生まれた三沢は、東京芸術大学大学院美術研究科修士課程彫刻専攻を終了したのち2000年から〈Animals〉シリーズの制作を始め、翌01年には第20回平櫛田中章を受賞しました。
表現方法とスケールが最大の特徴で、鑿跡が見える鉈彫り彩色を施すという伝統的な木彫りの手法によって、ほぼ原寸大に表現されています。生き生きとした表現で愛嬌たっぷりの動物達は、どこかユーモラスで愛らしく味わい深い魅力を持ち、同時に圧倒的な存在感と重量感で観る者の心をとらえて、独特な世界に引き込みます。
本展は、新作を含む代表的な彫刻作品50点余にドローイングを加えて、三沢によって表現された動物達を大自然に囲まれた霧島アートの森に終結させる九州初の展覧会です。日本に古くから伝わる彫刻の伝統を踏まえながら自身が持つ鋭く現代的な感覚を盛り込み新たに彫刻表現の可能性を押し広げている「三沢ワールド」の魅力を存分にご堪能ください。