草野心平(1903―1988)は、幼少年期を阿武隈山系の麓、現在のいわき市小川町で過ごし、その「色んなかたちの、主に花崗岩にひかれ、それをとおして石全体」に興味を抱きました。コレクションの趣味を持たなかった心平でしたが、旅先から持ち帰ったり、友人から贈られた「方々の石」が遺されています。
詩の一節に、
神はおれから遠ざかり。
近づいたのは石と天。
と書いた心平は、地球の断片である石に宇宙を感じ、石、地球、天の織りなす悠久のドラマに思いを馳せていました。
本展では、心平のもとに集まった石をはじめ、石をモチーフにした詩、書、画などにより、詩人の奥深い共生感を紹介します。