マックス・エルンストは、それまでの芸術表現を超えて、あらゆる分野に影響を及ぼし20世紀美術を革新した巨匠といえます。
エルンストの着想の豊かさと独創性は非凡であり、コラージュやフロッタージュ、グラッタージュなどの技法を発見し、デカルコマニーやオッシレーションなどの新たな制作技術を飛躍的に発展させました。
エルンストは、画家としてよく知られていますが、実際には絵画のみならず、あらゆる手段によって表現をしつづけました。特に彫刻は幻想的な観念を形態によってあらわすために日常のありふれたものを使って実験と制作を繰り返し、絵画作品と同様に彼独自の生き物のかたちを数多く生み出しました。風刺的で、ユーモアに満ちた姿を持ったこれらの作品は、芸術という枠を越えて見る者の心に入り込み、新たな発見と感動を与えてくれます。
この展覧会は、画家エルンストとしての初期から最晩年に至るまでの油彩作品やコラージュなどの平面作品に、あわせて表現者エルンストを紹介するために、いままであまり紹介されることの無かった彫刻作品の全貌もご覧いただきます。
今回の出品作品の核をなすのはエルンストの未亡人であるドロテア・タニング女史の所蔵品です。これらが初公開の作品を多く含んで国内最大規模で公開される他、国内外からもエルンストを語るに不可欠な作品を併せて紹介します。
また写真資料や文献などドキュメント資料も多数出展し、今までに無い幅広い構成で人間マックス・エルンストの魅力に迫る本格的な展覧会となります。
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