19世紀半ばのイギリス画壇に彗星のように登場したラファエル前派。ハント、ミレイ、ロセッティを中心としたこの先鋭的青年画家集団は、16世紀イタリアの巨匠ラファエロの絵画を模範とする当時の保守的なイギリス画壇を批判し、ラファエロ以前の画家たちの素朴な作風に絵画の革新を夢見ました。産業革命の繁栄とは裏腹な精神性の喪失感が蔓延してゆく中、彼らの運動は、次第に象徴性、装飾性を強め、周辺諸国に影響を与えながら世紀末芸術や美術工芸運動へと発展してゆきます。
本展では、絵画やステンドグラス、家具など約80点により、美術を通して精神性の充実を実現しようとした多面的試みを紹介します。