山本有三記念館は、大正15年頃に商社役員の住宅として建てられました。その後、1936(昭和11)年に作家山本有三が購入し、武蔵野の面影を残す静かな環境の下で代表作「路傍の石」や戯曲「米百俵」を執筆しました。戦後、進駐軍の接収により1946(昭和21)年に有三はやむなく転居しますが、接収解除後は国立国語研究所の分室や「有三青少年文庫」として利用され、1996(平成8)年からは「三鷹市山本有三記念館」として公開されています。1994(平成6)年には、海外の近代様式の折衷的表現を試みた特色あるデザインを示す希少な洋風建築として、三鷹市の文化財に指定されました。
本展では、有三が暮らしていた頃を中心に、施主清田龍之助に関する近年の調査結果や接収関係資料、青少年文庫時代の貴重な写真などを通して、建築当初から現在に至るまでの記念館の歩みをふり返ります。個人住宅、子ども図書館、作家の記念館として、時代により様々な姿を見せる洋館の歴史をご覧ください。