20世紀を代表する画家マルク・シャガール(1887-1985)は、ロシアの小都市ヴィテブスクのユダヤ人の家庭に生まれました。ペテルブルグでヨーロッパ近代美術を学んだ後、パリに5年間滞在。その後、故郷に戻り、ベラ・ローゼンフェルトと結婚します。シャガールは生涯ベラを愛し続け、その愛は彼の芸術にインスピレーションを与えたといわれています。
1941年に第二次世界大戦が始まると、ナチスの迫害を避けてアメリカに亡命しました。しかし、その辛苦に屈せず、自分がユダヤ人であることに誇りをもち続けました。
本展覧会では、高知県立美術館ご所蔵のシャガールの版画作品より、挿画本の原画やポスターの優品105点を前期・後期に分けて展示します。それらの作品からは、幻想的な美しさだけでなく、愛や悲しみなど、人間の本質を真摯に探求するシャガールの姿が見えてくることでしょう。