資生堂アートハウスでは、わが国における商業デザイナーの草分けとして戦前、戦後を通じて活躍し、没後30年となる山名文夫(やまなあやお・1897-1980)の作品展を開催いたします。
山名文夫は広島市に生まれ、県立和歌山中学校(現・県立桐蔭高等学校)卒業後、大阪梅田の赤松麟作洋画研究所で油絵を学びます。1910年代後半から雑誌の編集や執筆に携わり、その後入社したプラトン社で本格的にイラストレーションを手掛けるようになりました。
資生堂には意匠部員として1929年に入社、以来2度の退社復社を経ながらもアートディレクションを通じて広告デザインにおける資生堂スタイルの確立に寄与し、広告表現の主流が写真に移行する1960年代まで、山名の手による女性像は資生堂のイメージを形作ってきました。
本展では、資生堂に関連する作品はもとより、一般書籍のために描かれた表紙絵や口絵、挿絵、また私家版として発表された貴重なイラストレーションなどの原画にいたるまで100点余りを展示いたします。またこのなかには、これまで公開される機会の少なかった油絵やさまざまな周辺資料も一同に会し、山名文夫の新しい魅力をご紹介いたします。