今年、2010年は、徳川幕府がオランダに貿易許可書としての「朱印状」をはじめて発行してから401年目にあたります。17世紀以降、唯一交易を許された西洋の国オランダを通じて、様々な文物が日本からヨーロッパへ、またヨーロッパから日本へもたらされました。この背景には、オランダ東インド会社(VOC)による活発な海上交易活動があり、日本とオランダを結ぶ窓口となったのが長崎でした。さらに徳川幕府は、長崎のオランダ東インド会社を通じて海外情報を入手するなど、オランダは日本にとって、世界情勢を知る上でも重要な役割を果たしていました。こうした二国間の交流を通じて、ヨーロッパでは芸術や生活文化において、日本や中国などの東洋の文化を志向する風潮が生まれます。一方、日本では長崎を通じて入ってきたヨーロッパの様々な文物が、日本人の生活や文化、学問に大きな影響を与えました。
本展覧会は、17世紀から19世紀にかけての日蘭交流の歴史で重要な役割を果たしたオランダ東インド会社の活動や、日本とオランダが相互に与えた影響を、美術・工芸資料、歴史・考古資料を通して再認識していただくものです。