本年1月12日に発生したハイチ地震については、現地の報道により過酷な状況にあることはご承知のことと思います。発生直後に市内在住のハイチ系アメリカ人、ヒューズ・ロジャー・マシュー(Hugues R. Mathieu)から本館に対して復興支援の依頼を受け、1月17日の震災写真展シンポジウムにおいて、いち早く募金活動の協力体制をとりました。その中で、マシューが画家としてハイチ支援を進めたい旨、決意を表明しました。本館としても、シンポジウムなどにとどまらず、2009年度芦屋市展の入選者でもあるマシューの画家としての紹介が、ハイチ地震復興支援にも繋がると考えたのです。
マシューは住む地域の自然や文化を取り入れた独自な絵画手法で活躍するアーティストです。最近では、浮世絵の美人画や役者絵をモチーフにマシュー自身の経験や、周囲の人々の彼に対するゴシップなどをカリグラフィーにて書込み、いずれは本になる意欲的な作品も手がけています。
連作によって増殖し、従って未完成の作品も含めて画家としての彼の可能性を沢山の方々に見ていただきたいと思います。
そして、ハイチ地震復興のため、阪神淡路大震災の被災地として芦屋市立美術博物館が世界に向けてアートによる震災支援のあり方を問う機会にもなると考え本展覧会を企画しました。