日常生活にはさまざまなメディアを通じて情報が行き交い、私たちは、日々世界で起こっている事柄を時間と地理的な距離を乗りこえ瞬時に映像として捉えることができるようになった。同時に芸術の表現形態や表現領域も技術革新とともに拡大し、だれもが、どこでも表現者となりうる状況におかれている。このような均質化した社会において、現実を真摯に見つめ、自らが手がけるメディアの独自性を追求しながら、現代の諸相をとらえようとする作家の重要性は増してきている。
本展は、山形にゆかりのある、複数の現代美術家の作品を一つの空間に併置することにより、個々の作家の世界に向けた取り組みを紹介するとともに、そこに生まれてくるイメージから、作家と私たち観る者相互における現実感のありかを考える機会とするものである。