20世紀の初め、ロシア・アヴァンギャルドの画家や詩人は、古い伝統を打ち壊す芸術の革命を推進した。1917年のロシア革命を機に、多くのアヴァンギャルド芸術家は、国家の夢と自らの夢とを重ねた。市場経済が一部導入された1920年代、新しい生活の建設に向けて、映画のポスター、グラフィカルな雑誌や絵本、演劇の舞台や衣装、建築などの分野に芸術家は取り組んだ。1928年に始まる「五カ年計画」の時代には、ポスターや雑誌、ときにはテキスタイルを通じて、増産や工業化を訴えた。しかし、夢見る時代は長く続かず、革命20周年にあたる1937年の粛清の嵐を境に、創造的な活動は沈黙していく。
本展は、ポスターに代表されるグラフィック作品や、演劇の舞台原画、建築エスキース、陶器やテキスタイルなどの生活用品、教育機関「ヴフテマス」の資料、写真やCGなど、約200点により、1920年代から30年代にかけて、ロシアが夢見たユートピアを探るものである。