福島県立美術館では、近隣美術館との交流によって、コレクションの魅力を相互に展覧会で紹介する交換展事業をすすめてきました。今回は、秋田県立近代美術館とのコレクション交換展となります。
秋田県は、東北屈指の雄藩として、江戸時代から独自の文化を育んできました。特に第八代秋田藩主、佐竹義敦は、曙山(しょざん)と号し、洋風画を自ら学ぶなど、秋田蘭画と呼ばれる画派を生み出したことで知られています。
その最大の画家として知られる小田野直武は、わずか32歳で急死するまでの6年あまりの間に、『解体新書』の解剖図や、名作《不忍池図》などを描いたことで、今日ますます評価が高まっています。
近代に入ると、角館出身の平福穂庵、百穂父子や、小坂町出身の福田豊四郎などの個性的な日本画家を輩出し、その代表作がコレクションの中心となっています。
この展覧会は、秋田蘭画から戦後にいたる日本画の流れを、重要文化財を含む70点あまりの名品によってたどります。
「美のふるさと」を感じさせる秋田の美術。18世紀後半から20世紀にいたる200年間の美の系譜と、豊かな文化の地域性を感じ取っていただければ幸いです。