「朝鮮陶磁-柳宗悦没後50年展」を開催いたします。この展覧会は、日本民藝館の所蔵する朝鮮陶磁器約270点の逸品を一堂に紹介するもので、当館が誇る朝鮮陶磁コレクションの至宝展ともいうべきものです。
当館には約600点の朝鮮陶磁器が収蔵されておりますが、そのほとんどは創設者柳宗悦(1889~1961)の審美眼によって選ばれました。高麗時代の陶磁器もわずかに含みますが、朝鮮時代17世紀末から19世紀後半の陶磁器がその主体となっており、国内屈指の質と量を誇るものです。
本展で紹介される朝鮮陶磁器の数々は、そんな柳がことのほか愛したものたちです。そしてその出会いは、柳の後の人生の方向性を決定づける大きな契機となり、のちの民藝美論の礎となる「雑器の美」への目覚めへと繋がっていったのでした。
本年2010年は、柳宗悦が没して50年となります。しかし、柳が傾注した朝鮮陶磁器あるいは朝鮮の人々への敬愛を、けっして過去のものに終わらせてはなりません。願わくば、この記念すべき年にあたり、本展が韓国との新たな友好の礎となれば望外の喜びであります。