「女優と文化財」は、昭和39年1月号から翌40年12月号まで2年間にわたり月刊誌『婦人公論』の表紙を飾った作品です。吉永小百合さんと深大寺の仏像、岩下志麻さんと日光東照宮、三田佳子さんと龍安寺の石庭など、当時のトップ女優17人と国宝級の文化財との組み合わせを取った作品は、土門作品の中でも異色と言えるでしょう。
企画当初、土門拳は即座に断ったそうですが、当時の担当編集者の10日間に及ぶ日参に口説き落とされ、「女優を泣かせるけど、いいか。」の条件でスタートしたということです。
文化財の選定は土門拳、衣装デザインは森英恵さん。契約は1年連載でしたが、大好評につき2年に延長されました。24点の作品とともに撮影現場のスナップ写真や土門拳自身の撮影後記も紹介いたします。