わが国における1945年以降の芸術を振り返るとき、草月流の創始者である勅使河原蒼風(1900-79)の活動とその足跡は、単にいけばなの世界に止まるものではありません。その姿は、時にみずからの書や彫刻を世界に問う造形作家として、またある時には同世代や若いアーティストたちの活動の支援者として、今日まで記憶されています。
本展は、財団法人草月会より寄託された作品を基に当館の所蔵作品を加え、蒼風の平面作品を中心とする展示の二部構成、約60点により、戦後日本美術の一断面を紹介するものです。
第二次世界大戦後の現代芸術を牽引した国内外のアーティストたちと、豪放にして繊細、豊饒と枯淡を兼ね備えた蒼風の作品群は、今日の日本文化がいかに多様であり、かつ奥深いものであるかをわたしたちに語りかけています。