菩薩―。そのきらびやかな姿、慈しみに満ちた表情に人々は魅了されます。
菩薩といえば、現世・来世の利益をもたらし霊場をめぐりでもなじみ深い観音菩薩や、苦痛を除き救済のためならば地獄行きも厭わないという地蔵菩薩、知恵を授けるという文殊菩薩、釈迦入滅より五六億七〇〇〇万年後に世に現れるという弥勒菩薩をはじめとして、枚挙に暇がありません。
菩薩とは一般に、菩提薩?(bodhisattvah)の略語で、「悟りを求める人々」また「悟りをそなえた人々」のこととされますが、私たちの知る菩薩たちは、同じ「人々」にはみえません。
では、菩薩とはどのような存在なのでしょうか。それを知るには、およそ二五〇〇年にも及ぶ仏教の歴史を紐解かなければなりません。本展示では、仏典・仏像・仏画から「菩薩」を通してみえてくる仏教の歴史を紹介します。