中国古代文明を象徴するアイテム=「玉」、中国では古来より装飾品、日用品として扱われてきただけでなく、礼器として重要な儀礼行為にも使用され、富や権力の象徴・宝石として重宝されてきました。
黄河の下流域に位置する山東省では、6千年以上前の大ぶん口文化や龍山文化に代表される新石器時代から既に精巧な造像表現による玉製品が生み出され、それは青銅器の文様にも継承されるように、中国古代文明の形成に大きな役割を果たしてきました。
殷周時代に入ると、さらにその造形表現は多彩で精緻なものとなります。例えば龍、虎、鹿、蟠ちの文様など活き活きと表現され、躍動感にあふれています。また現存しない動物表現や複雑な文様など、古代国家形成期における当時の宇宙観・世界観を表現しています。
そして古代文明の伝統が継承されながら、明清時代になると玉文化の発展は最高峰に達します。玉器の造形には山水画や詩の世界までもが表現され、それらの作品は日本の幕末・明治期の文人文化にも大きな影響を与えています。
このたびの展覧会では、中国古代の宝石「玉」の様々な造形表現を通して、中国における古代から現代に至る玉文化、美術、工芸の宇宙へみなさまをいざないます。