「本」は、私たちにさまざまなことを語りかけてきます。「本」を手に取った時、タイトルや表紙のデザイン、手に残る感触などから、私たちはページを開かなくとも多様なイメージを受け取ります。また「本」は、手の内に収まるような小さな空間の中に著者の世界観が広がる、いわば「知」の容器でもあります。
「THE LIBRARY 「本」になった美術」では、美術や写真、デザイン、工芸など、多彩なジャンルのアーティスト46名45組が「本」のかたちをもとに制作した作品をご紹介します。
私たちは、架空の「図書館」に見立てた展示室の中で、作者の思想や世界観が凝縮されたこれらの作品を、あたかも「本」をひもとくように、実際に手に取って楽しむことができます。造形としてつくられたこれらの「本」を、1点ずつ子細に眺めて読み進める行為は、それぞれの作者の心の内に広がる「世界」をめぐる旅にもたとえられるでしょう。