『風貌』(昭和28年)は、土門拳自身が尊敬する人、好きな人、親しい人たちを集めたものですが、撮影時の土門の迫力と粘り強さが伺える数々のエピソードとともに、いずれも日本の政治、経済、科学、文化をにない、近代日本の社会をつくりあげてきた第一級の人物に肉迫しており、気骨や気品、威圧を感じさせる貴重な記録となっています。
この写真集の刊行準備中、土門は自分の書斎兼寝室の襖に、撮りたい人物の名前をびっしりと墨筆し、撮影が終了したり新たに人物を思いつくと、襖を張り替えまた書くということを繰り返していたそうです。